健診で引っかかった、
異常を指摘された方へ
健診で引っかかった、数値の異常を指摘された場合には、要再検査・要精密検査・要治療といった各判定に従い、必ず医療機関を受診するようにしてください。
特に糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病は、初期にはほとんど症状がありません。「症状がないから」「元気だから」「まだ若いから」といったことは、病気でないことの根拠にはなりません。
早期に適切な治療を受けるため、安心して過ごせる毎日を取り戻すため、健康診断で異常を指摘された場合にはお早めに当院にご相談ください。
「要再検査」「要精密検査」を放置していませんか?
要再検査・要精密検査という判定があっても、病気であることが確定したわけではありません。しかしだからといって放置していると、病気が原因であった場合には、その病気の治療の機会を失い、進行を許してしまうことになります。
- 会社で健康診断を受けたが、結果を見ていない
- 結果を見てもよく内容が分からずなんとなく放置している
- 異常を指摘されたが無症状なので再検査等を受けていない
- 要精密検査と言われ、こわくなって蓋をしている
- 異常を指摘されたが、来年までに改善できれば問題ないと考えている
- 身体が元気なので、そもそも健康診断を受けていない
上記のような対応は、いずれも正しくありません。
せっかく時間をかけて受けた健康診断です。病気の早期発見・早期治療のため、予防のため、要再検査・要精密検査の指示には必ず従ってください。
検査結果の見方
健康診断の結果では、通常以下のような判定がなされます。
異常なし
診察、検査などにおいて特に異常が認められなかった場合になされる判定です。
引き続き、生活習慣に気をつけていきましょう。
要再検査・要経過観察
測定した数値が、正常の範囲を超えていたという判定です。
「要再検査」の場合は、医療機関を受診し、再度同じ検査を行います。
「要経過観察」の場合は、食事や運動、睡眠などの生活習慣の見直しを行いましょう。次回の健康診断では、「異常なし」を目指します。
要精密検査
医療機関を受診し、健康診断で受けた検査よりも精密な検査を受けてくださいという判定です。同じ検査をもう一度受ける再検査とは異なります。
「精密検査」という響きがこわいという人もいますが、病気が確定したわけではありません。あまり心配せず、しかし勇気を持って精密検査を受けましょう。
要治療
すぐに治療が必要な段階です。医療機関を受診し、正確な診断の上、早期に治療を開始しましょう。
健康診断で引っかかりやすい
項目と病気
健康診断では、さまざまな項目について調べられます。
そのうち、特に異常が出やすい項目を、疑われる病気と一緒にご紹介します。
糖尿病:血糖値、
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
血糖値、HbA1cが高いといった場合には、糖尿病が疑われます。
糖尿病はいくつか種類がありますが、そのほとんどを生活習慣病である2型糖尿病が占めています。初期にはほぼ症状がないため、「無症状で糖尿病が見つかった」場合には、早期の治療につながりやすくなります。
脂質異常症:
コレステロール・中性脂肪
LDLコレステロールや中性脂肪の値が高すぎる、HDLコレステロールの値が低すぎるという場合には、脂質異常症と診断されます。
初期だけでなく進行してからも症状が現れにくいため、異常を指摘された場合には無症状であっても、必ず医療機関を受診するようにしてください。
高血圧症:血圧
診察室での血圧が140/90mmHg以上である場合、高血圧症と診断されます。進行してからも症状が乏しく、気づかないうちに血管や心臓に負担をかけてしまいます。
自覚症状がなくても、異常を指摘された場合は必ず医療機関を受診してください。
痛風(高尿酸血症):尿酸値
尿酸値が7.0mg/dLを超える場合、高尿酸血症と診断されます。ただ、この段階ではまだ無症状です。放置しているとやがて足の関節などで尿酸が結晶化し、強い痛み・腫れを伴う痛風発作が起こります。
痛風になる前に治療を開始することで、痛風を予防することが可能です。
貧血:血色素量・赤血球量・ヘマトクリット
通常、貧血の診断には血色素量(ヘモグロビン濃度)が用いられます。貧血のタイプとしてもっとも多いのが鉄欠乏貧血で、その多くは食事における鉄分の摂取不足、(女性の場合は)月経を原因としますが、消化器などの出血によって鉄欠乏性貧血が起こることもあります。
原因となる病気としては、消化管のがん・潰瘍、白血病、子宮筋腫などが挙げられます。
膵臓の病気:アミラーゼ、
リパーゼ
アミラーゼやリパーゼの項目において異常値が見られた場合には、膵臓の病気を疑います。
どちらも膵臓から分泌される消化酵素ですが、アミラーゼは糖類を分解する役目、リパーゼは脂肪を分解する役目を持ちます。
膵臓疾患は、発見が遅れると命にかかわることが多いため、異常を指摘された場合は早急に受診してください。
肝臓の病気:ビリルビン・AST(GOT)・ALT(GPT)・γGTP・ALP、アルブミン
ビリルビンやAST(GOT)、ALT(GPT)、γGTP、ALP、アルブミンといった項目で異常があった場合には、肝臓の障害や機能低下が疑われます。肝臓が沈黙の臓器と呼ばれる通り、肝臓疾患になってもなかなか自覚症状は現れません。
たとえ自覚症状がまったくなくても、必ず医療機関を受診するようにしてください。
腎臓の病気:クレアチニン(Cr)・尿素窒素(BUN)・eGFR
クレアチニン、尿素窒素はいずれも、私たちの身体にとって不要なものであり、本来であれば尿として体外へと排出されます。これらの数値が高い場合、腎臓の機能が低下していることを意味します。
eGFRは、腎臓が老廃物を尿へと排泄する機能の良し悪しを示す数値です。数値が低いほど、その機能が低下していることになります。
腎臓・膀胱など病気:
尿タンパク・尿潜血
尿タンパクとは、タンパク質が尿の中へと排泄されていることを意味します。腎臓で老廃物をろ過する機能が低下すると、この尿タンパクが起こりやすくなります。尿タンパクはしばしば、腎臓の病気の初期症状として認められます。
尿潜血とは、尿の中に血液が混じっていることを指します。腎臓がんや膀胱がん、尿管結石、腎炎などの病気が考えられます。
ただ、尿タンパクも尿潜血も、健康な人に一時的に見られることがあります。過度に心配する必要はありませんが、病的なものかそうでないのか、必ず再検査や精密検査で調べてもらうようにしてください。
不整脈:心電図
心臓が発する微弱な電気信号を読み取り、波形として表示するのが心電図です。
心電図に異常がある場合には、不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大などが疑われます。特に治療の必要のない不整脈もありますが、重大な病気が隠れていることもあるため、異常を指摘された場合は必ず再検査や精密検査を受けてください。