食生活の制限が辛い方、
食事制限を続けられない方へ
生活習慣病の食事療法においては、しばしば「〇〇は避けてください」「腹八分目で我慢してください」「間食をしないでください」「毎日決まった時間に食事を摂ってください」といった指導がなされます。
これらは、間違った指導ではありません。ただ、私たちには仕事や家庭、趣味、人付き合いなどがあり、「常に完璧な食事療法」ができるとは限りません。また、「食事が何よりも楽しみ」という人に画一的・厳しい食事指導を行うことは、日々の楽しみ、場合によっては人生の意味を奪ってしまうことになりかねないと、当院は考えます。
食事制限が辛いという方、食事制限をなかなか続けられないという方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
当院で行う治療の特徴
一般的な生活習慣病の治療では、「未来」のことを最重要視した食事療法が行われます。未来に目を向けた治療で合併症を予防すること、寿命を伸延することは、もちろん大切なことです。ただ、そのために「今」のその人らしさ・幸せが犠牲になってしまっては、本末転倒だと当院は考えます。
ヘルスマネージメントクリニック西新宿では、「今」と「未来」の両方を大切にした生活習慣病治療を行います。食事療法においては、画一的・厳しい制限を指示するのではなく、患者さんが無理なく頑張れるところはとことん頑張ってもらい、辛いところは妥協点を探るといった方法をとります。また、運動療法をしっかり頑張れる人であれば、食事療法の制限を多少緩めることも可能です。
今も未来もしっかりと幸せを感じていただけるよう、全力でサポートいたします。
生活習慣病と食事について
生活習慣病の食事療法においては、その生活習慣病の種類によって、少しずつ気をつけるべき点が異なります。
生活習慣病のうち、糖尿病・脂質異常症の治療、肥満の改善において特に重要になるのが、1日あたりの適正な摂取エネルギー(カロリー)量の把握です。
1日のカロリー計算
まず身長に応じた標準体重を、【22×身長(m)×身長(m)】で算出します。1日あたりの適正な摂取エネルギー量は「標準体重1㎏あたり25kcal」というのが基準となっているため、算出した標準体重に25(kcal)を掛けます。これが、1日あたりの適正な摂取エネルギー量です。
【例】身長170cmの人の場合
- 標準体重=22×1.7(m)×1.7(m)=63.58(kg)
- 1日あたりの適正摂取エネルギー量=63.58(kg)×25(kcal)=1589.5(kcal)以下
※上記計算式中の「25(kcal)」は、身体活動量が「軽労作(デスクワークが中心・家事)」である場合の数値です。「普通労作(立ち仕事)」であれば「30(kcal)」を、「重労作(力仕事)」であれば「35(kcal)」を、それぞれ代入してください。
無理をしない糖尿病の食生活
食事療法というと、「味気ない」「量が少ない」といったイメージがあるかもしれません。
しかし、生活習慣病の食事療法の実際は、「普通の食事」です。これまで食べていた量、味付けと比べると物足りなさを感じるかもしれませんが、これが本来摂るべき・おいしく食べられる食事であるというふうに、認識を正しましょう。もちろん、ある日急に認識を改めることはできません。医師と相談しながら、緩やかに「普通の食事」に近づけることで、十分な満足感が得られるようになります。
- 食べ過ぎ・偏りのあった食習慣から、「普通の食事」へと正すのが食事療法です。
- 炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの過不足がないバランスの良い食事を摂りましょう。
- 医師と相談しながら、少しずつ改善していくことで、「普通の食事」に満足感が得られるようになります。
病気ごとに解説!
食事療法のコツ
同じ生活習慣病でも、糖尿病、高血圧症、脂質異常症では食事療法の内容が多少異なります。
これらに腎臓病、虚血性心疾患を加えた5つの病気ごとに、食事療法でのポイントを絞ってご紹介します。継続するためのコツとあわせて、ご覧ください。
糖尿病
治療においてもっとも大切なのは、血糖コントロールです。
必要な摂取エネルギー量を守り、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂りましょう。
食事療法のコツ
- 家族で食べる場合、料理を大皿で出すのではなく、最初から一人分ずつ小皿に分けて量・栄養バランスを守りましょう。
- きのこ類、海藻類など、低カロリーの食材を使った料理で、満腹感を高めましょう。
- すべての料理を薄味にしてしまうと、物足りなさを感じます。一品だけ味をしっかりつけるとメリハリが出て、満足感が高くなります。
高血圧
高血圧の食事療法においては、減塩が重要となります。1日の塩分摂取量は、6g未満に抑えましょう。
その上で、摂取エネルギー量を守り、栄養バランスが整えば理想的です。
食事療法のコツ
- 出汁、香辛料などを活用すれば、塩分を抑えながら味にアクセントをつけることができます。
- 外食、コンビニ弁当、インスタント食品などは塩分が多めです。自炊にチャレンジしましょう。
- 家計簿をつけて食費を把握する、新しい料理をマスターする、大切な人に料理を振る舞うといったことは、自炊のモチベーションのアップに役立ちます。自炊に自信がない人は、料理教室に通うのも良いでしょう。
脂質異常症
脂質異常症の食事療法においては、食べ過ぎ・脂っこいものを控えるということが重要な課題となります。
またお酒も、できる限り控えるようにしてください。
食事療法のコツ
- 家族で食べる時など、料理は大皿ではなく小皿に1人分を盛って出し、量・栄養バランスを守りましょう。
- きのこ類、海藻類など、低カロリーの食材を使った料理で、満腹感を高めましょう。
- お酒を飲む際には、水や炭酸水を挟むと、アルコールの分解・吸収が緩やかになります。
腎臓病
腎臓病の場合には、腎臓に負担をかけない食習慣を送ることが大切になります。
腎臓に負担をかけやすいタンパク質を摂り過ぎないこと、エネルギーについては糖質や脂質でしっかりと摂ること、塩分・カリウムを制限することなどが大切です。
※糖尿病性腎症の場合は、この限りではありません。
食事療法の基本
- タンパク質を摂り過ぎない
- 糖質・脂質でエネルギーをしっかり摂る
- 塩分・カリウムを摂り過ぎない
虚血性心疾患
狭心症と心筋梗塞のことです。食事療法においては、動脈硬化を進行させないことが大切になります。
食事療法のコツ
- 塩分を摂り過ぎない(1日6g未満)
- 低脂肪、低コレステロールの食事を中心にする
- 適正なエネルギー摂取量を守る
- 禁酒が理想的だが、大きなストレスとなる場合は、医師と相談して節酒に留める